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絶海の孤島・青ヶ島在住の40歳女性が語る、“日本一人口が少ない村”の男女の出会い事情「家族のように育っているから…」

絶海の孤島・青ヶ島在住の40歳女性が語る、“日本一人口が少ない村”の男女の出会い事情「家族のように育っているから…」

「青ヶ島ちゃんねる」佐々木加絵さんインタビュー

2024/04/20
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――移住希望者が気軽に引っ越せるよう、「空き家バンク」を活用している地方自治体も増えてきていますが、青ヶ島ではそういった活動はないのでしょうか?

加絵 青ヶ島は海に囲まれた島だから、空き家は潮風ですぐダメになってしまうんです。村営住宅の建設は盛んに行われていますが、村役場に勤める人が優先的に住めると決まっています。公費以外で新しく家を建てようと思っても、家を建てる材料費よりも、その材料を島まで運ぶ送料のほうがすごくて……。

村営住宅の外観

「家族のように育っているから…」青ヶ島の“男女の出会い事情”

――家がないから、移住者が増えない、と。

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加絵 はい。移住者が増えないから、子どももどんどん少なくなっていて。私が小中学生の頃は、同級生が4人いました。でも今の青ヶ島には、先程も話題に出た通り小学生が6人、中学生は2人で、同級生がいないのが当たり前になりつつあります。しかも中学生は2人とも、島留学で一時的に滞在している子たちです。

――島生まれの子どもが少なくなっているのですね。

加絵 数年前までは「もんじ」という島内の居酒屋で期間限定のバイトを募集していて、毎年のように本州からリゾートバイト感覚で来る人がいました。その中には、バイトの期間が終わっても島に残り、そのまま島の人と結婚する方もいたんですよ。でも今はその居酒屋が閉店したため、島の人と本州の人が出会う場はほぼなくなってしまいました。

 現在、島には若い人が多いですが、小さい頃から家族のように育ってきているから、今更幼馴染との結婚は考えられません。役場や学校に転勤で来た人と島の人が結婚することはありますが、任期が終わると家族で本州に戻ってしまいます。

 島の少子化問題を解決するには、以前のように島の人と島外の人が出会う場を増やす必要があります。そのためには、少しずつ観光客や移住者を増やしていかないといけません。でも、受け入れる住居の数に限界があるというジレンマを抱えている状況です。

 住居問題と少子化問題の解決の一助となればという思いで、現在、私が主導して島内に「ミュージアムハウス」と「グランピング施設」を作る計画を進めているんです。

 

移住希望者や観光客を増やすための構想

――ミュージアムハウスとはどのようなものなのでしょう?

加絵 まだ構想段階ではあるのですが、青ヶ島の文化や自然を紹介するミュージアム兼ゲストハウスを作りたいんです。ゲストハウスは、短期間の観光客だけでなく、将来移住を考えているような長期滞在の人も泊まれるようにしたい。また、ミュージアムの隣には飲食スペースを併設して、そこでリゾートバイトを復活させたいと思っています。

――では、グランピング施設は?

加絵 二重のカルデラがある池之沢という地域には、現在もキャンプ場があります。そこに、簡易住宅の設置計画を進めています。資材の輸送費が高額になるなど、解決すべき課題はありますが、それがクリアできれば観光客や移住者を受け入れる場所が一気に増えるので、いろんな課題の解決につながるはず。キャンプ場のすぐ近くには、トイレとサウナ、そして炊事ができる地熱釜があるから、日常生活にも困りません。

 将来的には、キャンプ場以外にも簡易住宅を設置して、移住希望者が住める場所をさらに増やしていきたいです。