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バクチにかけた男たち

初カジノで100万円が2000万円に…“総額2兆円負けた男”が底なし沼に引きずり込まれた大きすぎるビギナーズ・ラック

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『熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』より#1

2024/04/25

genre : ライフ, 社会, 読書

note

丁半バクチのようなバカラにハマったワケ

 私は小学生のころから、ゲーム性が高く頭脳プレイを必要とする麻雀を好んできた。その私が、なぜ丁半バクチのようなバカラにハマってしまったのだろう。麻雀では自分のほかに3人のプレイヤーがおり、相手の力量からはじまり、顔色や性格まで含めて状況判断をしなければならない。それに加えて、その場の点数状況も関係してくる。

「オーラスで今オレがトップだが、2位のAさんとは5200点差、3位のBさんとは9000点差だ。でも怖いのはBさんだ。あの人はいつも一発逆転狙いの性格だから、オレを狙い撃ちにしてくる可能性がある。ダマ(リーチをしない)で即行上がりを狙おう」勝負相手の性格やこれまでの関係性、その日のコンディションを考えながら、戦術を組み立てていく。

 

 最近の麻雀はデータの統計もしっかり取られていて、一発ツモの確率まで計算されている。一発ツモの確率とは、ある統計では約10%だそうだ。ところがツイている者は、半荘(ハンチャン)の間にリーチを4回かけた際、4回中3回も一発ツモしてしまったりする。そのプレイヤーが一発ツモを仮に3回連続で引いたとすれば、0・1の3乗、つまり1000分の1の確率で引いている計算になる。

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 日本式の麻雀とは戦術と確率、さらにまったく予測不能なツキ(運)の3者が絶妙にミックスしているのだ。だからおもしろいゲームとして根強い人気を誇るのだろう。

勝つべくして勝った初めてのカジノ

 他方でバカラやチンチロリンのような丁半バクチは、戦術も何も関係ない。問われるのは運だけだ。サイコロを振ってバクチをやるとしよう。サイコロの出目は1から6まで6の1になるように思えるが、実際のところは1が連続5回出ることもある。

 ツイているときは信じられないくらい勝つ一方、運に見放されれば呆れるくらい負ける。だからこそおもしろいし、さまざまな形態の丁半バクチが世界中で流行しているのだと思う。ご多分に洩れず、私も丁半バクチのなんとも言えないスリリングさとおもしろさに、どんどん没入していった。