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「母が不倫相手の局部写真を、幼い私に見せつけて…」母親から虐待を受けた遠野なぎこ(44)が、15歳で摂食障害になったワケ

遠野なぎこさんインタビュー #1

2024/05/05
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 15歳で摂食障害となり、現在もその症状と闘っている俳優の遠野なぎこさん(44)。発症のきっかけは、母親に虐待されて育ったことが大きく影響しているという。彼女は、どのような母娘関係のもとで子ども時代を過ごし、摂食障害を患うことになったのか――。遠野さんに話を聞いた。(全3回の1回目/2回目に続く)

遠野なぎこさん ©佐藤亘/文藝春秋

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きょうだいの中で自分だけ虐待されていた幼少期

――まずは、遠野さんとお母さんの関係性について、改めて教えていただけますか。

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遠野なぎこさん(以下、遠野) 幼少期の記憶というと、母親から虐待を受けていた記憶しかないんです。小学生くらいからの記憶なのかな。殴られたあと、いつもバケツを渡されて、その中に鼻血が溜まっていくのを見ていました。

 そのときのことは、マンションの風景も間取りも、どこでどうやってバケツを抱えていたかもはっきり覚えています。母からは体の暴力もありましたし、心の暴力もありました。

――心の暴力は、どういったことが行われていましたか。

遠野 小学生の頃から容姿や性格について「醜い」「お前なんか」というようなことをずっと言われてきました。どれだけ私が劣っている人間かというのを、陰湿に、悪魔のように言い続ける人でしたね。

 あとは、彼女が不倫をしている相手との話をよく聞かされていました。「今日キスしたの」とか、不倫相手の男性器の写真を見せられたこともあります。私はまだ幼かったから、何をされているのかさえわからなかったけれど、そういう虐待がずっと、きょうだいの中で私だけに行われていました。

 

アクセサリーのように扱われても、母を喜ばせたかった

――どうして遠野さんだけだったのでしょうか。

遠野 うーん、わからないけど、好きじゃなかったんじゃないですか。私のことを、女として敵視していたように思います。子役のときから芸能界にいるので、私に活躍してほしい、アクセサリーみたいに扱いたい気持ちがある一方で、私がオーディションに受かったりすると「お前が輝くのは嫌だ」と言わんばかりに足を引っ張りたい気持ちもあったようです。

 私は私で、母に見てもらいたいから「受かりたい、活躍したい」と思って頑張っていたので、すごく複雑な関係性だったと思います。