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バクチにかけた男たち

「どうにか負けを埋め合わせないと…」大王製紙子会社からの借金は10億円を超えタネ銭もない…窮地の私が思いついた3000万円のカネをすぐに作る方法

「どうにか負けを埋め合わせないと…」大王製紙子会社からの借金は10億円を超えタネ銭もない…窮地の私が思いついた3000万円のカネをすぐに作る方法

『熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』#3より

2024/04/25

genre : ライフ, 社会, 読書

note

 ジャンケットのK氏に頼み、アメックスのカードを使ってできるだけ多額の現金をつくれる店を探してもらった。K氏は2時間ほどかけて店を探し出し、2000万円の買い物をしたことにして種銭をつくったこともある。

 今思い返せば馬鹿を通り越してただ呆れるだけなのだが、クレジットカードを使ってもっと多額のカネをつくったこともあった。マカオの「ウィン・ホテル」の中にはロレックスの専門店が入っており、無数のダイヤがキラキラ光る、ド派手で悪趣味な時計が売れ筋商品として置かれていた。こういう派手な時計を、中国人の金持ちは好むらしい。

 夕方にマカオに着いて夜中までカジノに興じた私は、初日にして種銭をすべてスッてしまっていた。あと2日間カジノにいられるのに、まったく勝負をせず時間を過ごすのも馬鹿らしい。そこで勝負に負けた翌日の朝10時、開店と同時に「ウィン・ホテル」のロレックスショップに足を向けた。

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 マカオのカジノでは、K氏以外に中国人のジャンケットともつきあいがあった。そのジャンケットが言うには、香港やマカオの質屋では中国のカネ持ち好みのド派手な時計ほど引き取り額の歩合が高くなるらしい。

 そこでまったく私の趣味ではないのだが、先ほどのド派手な時計(1個300万円もした)を10個一気に購入した。お代は締めて3000万円也。ブラックカードを駆使して、私はロレックス10個をまとめ買いしたのだ。ロレックス10個を質屋にもっていけば3000万円弱の現金になるかと思いきや、なんと引き取りの歩合は商品価格の45%だという。つまり1350万円だ。おそらくジャンケットがいくらか中抜きしているに違いないと思いつつ、バクチに狂っていた私は「最終的に全部取り返せばいいのだ」と深く追及はしなかった。

 

 1個300万円のロレックスを、新品のまま未開封で質屋に預ける。こうしてつくった種銭をもとに、馬鹿げた勝負に挑んだ。

3000万円超の大勝ちで質屋のロレックスを回収

 ブラックカードでこしらえた1350万円の種銭をもとに、私はバカラの大勝負に出た。ギャンブルの神様の気まぐれか、ここで再び奇跡が起こった。ロレックスの購入でつくった借金3000万円をすべて取り返したうえに、大幅な黒字にもっていくことができたのだ。