ロシアや中国、北朝鮮――日々緊迫感を増す大陸情勢。それは今に始まった話でない。我が国の暗闘の歴史と喫緊の脅威。諜報戦争の只中にいた外事警察官僚にして、国家安全保障局長も務めた北村滋氏に池上彰氏が迫る。

池上彰氏

池上 泥棒や殺人犯を捕まえる刑事警察に比べて、一般市民に馴染みの薄いのが警備公安です。私はNHKの社会部時代、警視庁で捜査一課と三課を担当していました。記者クラブには警備公安担当の同僚もいましたけど、彼らが何をやっているかさえ不明でした。北村さんがご専門にされていた外事警察となると、さらに見えにくいですね。

北村 そうかもしれません。外事警察には、三つの分野があります。まずは防諜。いわゆるスパイの取り締まりです。次に国際テロリズム対策。三つめが、大量破壊兵器に関連する物資などの不拡散。どれも国家の存立や国益と、密接に関係しています。

池上 月刊『文藝春秋』の連載を元に昨年12月に出版された北村さんの著書『外事警察秘録』は、重版を続けています。ロシアや中国のスパイとの攻防から、横田めぐみさん「偽遺骨」事件、北朝鮮への不正輸出の摘発、山口組とイタリアマフィアの関わりなど、実際に起こった事件が生々しく書かれています。

『外事警察秘録』

北村 Amazonのレビューなどを見ると、評判は悪くないようです。

池上 外事警察は秘匿が重視される部署です。その一方で、活動の実態を日本の国民に知ってほしいという思いがある。そういうジレンマの中で、この本を書かれたと思うんですが。

北村 そうですね。

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source : 週刊文春 2024年5月2日・9日号