文春オンライン

バクチにかけた男たち

「どうにか負けを埋め合わせないと…」大王製紙子会社からの借金は10億円を超えタネ銭もない…窮地の私が思いついた3000万円のカネをすぐに作る方法

「どうにか負けを埋め合わせないと…」大王製紙子会社からの借金は10億円を超えタネ銭もない…窮地の私が思いついた3000万円のカネをすぐに作る方法

『熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』#3より

2024/04/25

genre : ライフ, 社会, 読書

note

 大王製紙会長時代の2011年、カジノでの使用目的で子会社7社から総額106億8000万円を借り入れていた事実が発覚。会社法違反の容疑で逮捕され懲役4年の実刑判決を受け服役した井川意高氏(59)は、少しずつカジノにのめり込んでいったという。

 ここでは半生を振り返った『熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』(幻冬舎文庫)より一部抜粋。大王製紙子会社からの借り入れが10億円を超えた時に体験した、珍しい種銭作りを語る。(全3回の3回目/第1回第2回を読む)

 

◇◇◇

ADVERTISEMENT

つなぎ資金という名目で10億円を引っ張るようになっていた……

 カジノに行き始めた当初、せいぜい私は100万円単位の勝負しかしなかった。ジャンケットのK氏がコンシェルジュのようについてくれるようになってから、カジノでの勝負はどんどんエスカレートしていった。K氏の口ききによってカジノの運営会社に数千万円、数億円という借金を重ね、負けはどんどん拡大していった。どうにかして負けを埋め合わせなければならない。

 私は個人的事業のつなぎ資金という名目で、大王製紙の連結子会社数社から10億円を超えるカネを引っ張るようになっていった(このことについては、本書第七章で詳述する)。それでも負けは取り返せず、いつしかバカラによって蕩尽した借金の額は天文学的な数字へと膨らんでいた。

 

 2011年4月以降、私はほとんど毎週のようにマカオへ出かけてバカラをやり続けることになる。金曜日の夕方に仕事を終えると、その足で羽田空港へ向かう。金曜日の深夜にはマカオ入りし、ほとんど眠らずに勝負をし続ける。勝って帰途に就ければいいのだが、種銭をスッてしまい、ジャンケットからの借り入れ額も限界に達してしまったことが何度かあった。

 そんなときは、なんとかして種銭をこしらえるため、苦肉の策に打って出た。各種クレジットカードのうち、私はアメックス(アメリカン・エキスプレス)やダイナースのブラックカードを所有している。ブラックカードであれば、私の場合は最高で3000万円まで買い物ができた。

 さすがに「ウィン・マカオ」のVIPルームといえども、質屋の機能はない。商品そのものをもっていってもカジノで遊べるわけではないが、だったらホテルの外にある質屋にカードで購入した3000万円の商品をもっていってはどうか。

 何の自慢にもならないが、私はこうしたブラックカードを利用した、普通の人が体験しない珍しい種銭づくりをしたこともあった。

関連記事